この項目では、軍用直熱三極管VT-52について説明しています。
VT-52 は WE社傘下の National Union社が開発した軍用直熱三極管。実際の開発は National Union社から Reytheon社に委託され、Reytheon が開発したものと思われる。
45 special を改良したものと言われている。UX4ピンベース。形は初期はナス管(S-17)と言われているが市中には流通していない。一般的に入手可能なのは ST管(ST-14)。軍用機内で使う無線機(BC-AS-230/BC-AS-430)用の送信管として使われ、Hytron社から供給された。
Reytheon社、Western Electric(WE)社、Sylvania社、RCA社などが互換球を製造した。特に WE社製は評価が高く、高額で取引される。
(資料に乏しいが)定格最大プレート電圧300V、定格最大プレート損失10W。
現存するデータシートなどが無いため詳しい数値は不明。
フィラメントは7.5V/1.26A、7.0/1.18A。なお、フィラメント電圧、電流には諸説あるが、これは開発当時の無線機が電圧の不安定な軍用機内で使われており、かつ地上での使用ではバッテリ動作も可能だったため使用範囲が広く取られている。6.0~8.0V の間で安定して動作する。当時の米軍のバッテリは 1セル2.5V であったと言われ、7.5V はバッテリ 3直列で得られる電圧になる。バッテリを 5直列(12V)とし、これをフィラメントで直列に使用することで 6.0V となることから、6.0V でも動作すると考えられる。
フィラメント電圧/電流 | プレート電圧 [Ep] |
グリッド電圧 [Eg] |
プレート電流 [Ip0] |
負荷抵抗 [Rl] |
カソード抵抗 [Rk] |
出力電力 [Pd] |
増幅率 [A] |
内部抵抗 [Rp] |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
7.0V/1.18A | 220V | -43.5V | 29mA | 3.8KΩ | 1500Ω | 1.0W | 3.8 | 1650Ω |